170428④「宇宙の見えない物質をさぐる」

 

今回は宇宙の中に星や銀河ではない、見えない物質の話をする。この物質があることは理論的に証明されている。

 

まず見えるという事はどういうことかを考えてみる。

 

「見えるという事とは?」

 

ある物から電磁波の一つである可視光線が来れば見ることは出来る。(肉眼で望遠鏡で)。太陽のように自ら光を出す

 

恒星や、月のように光を反射するものもある。可視光線以外でも赤外線・X線なども機器を使えば検出する事が出来る。

 

ところがどうしても見えない、検出できないが、その物質の存在が物理学的に説明されているものがある。これをダ-クマタ-という。darkの意味は、暗いではなく、不可解・曖昧。

 

「ダ-クマタ-」

 

電磁波は出していないが、重力は存在する。そしてそのダ-クマタ-の候補としては以下のリストがある。

 

(ダークマタ-の候補)

 

・遠くにある惑星   電磁波を出さないもの。

 

・中性子星・・・・質量は太陽程度、中性子が主成分。密度は1014、とてつもなく高いとされる。

 

・白色矮星・・・・恒星が核融合反応を停止し、収縮した天体の一種。恒星の末期状態。

 

・ブラックホ-ル・・・・高密度で重力が余りに強いために物質も光も放出できない天体。質量の大きい星が一生の

 

最後に自らの重力で崩壊することで生じる。それ自体は観察できないが、周囲の天体の軌道運動でその存在が

 

分かる。

 

「ニュ-トリノ」

 

レプトンの一つ。ベ-タ崩壊の際にエネルギ-保存則に基づいて存在を仮定され、その後存在が確認された中性の

 

素粒子。この素粒子は宇宙空間に沢山存在し、我々の身体を突き抜けている。当初、ダ-クマタ-の候補となったが

 

現在は否定されている。

 

  (ニュ-トリノ天文学)

 

   恒星の中心部で起こる核融合反応に伴って生成するニュ-トリノを観測し、星の進化などのメカニズムを探る

 

天文学の一分野。

 

「カミオカンデ」

 

ニュ-トリノを観測する為に、岐阜県神岡鉱山地下に作った観測装置。ニュートリノは物を貫通する能力が高く、他の

 

物質と反応することなく簡単に地球を通り抜けて行く。しかしまれに他の物質と衝突することが有り、カミオカンデはこの希に起きる衝突を検証することで間接的に陽子崩壊を実証した。小柴博士のノ-ベル賞。

 

そして、このニュ-トリノに質量があることを発見したのが東京大学の梶田貴明教授(小柴博士の弟子)→ノ-ベル賞

 

「ヒックス粒子」

 

物に質量を与える働きをすると考えられており存在は理論上確認されているが、まだ未発見。

 

スキー場を例にとって説明する。ここに三種類の道具を付けた人がいるとする。

 

・スキーを付けて滑る人   軽やかに滑っていく

 

・カンジキをはいて歩く人  多少抵抗はあるが、それなりにゆっくりとは歩ける 

 

・ブ-ツをはいて歩く人   足がめり込んで歩くのに難渋する

 

ヒックス粒子は、この時の雪の一粒一粒と考えたらよい。まとわりつく物の方が質量は大きい。まとわりつき方が少ないのは、質量が小さい。光は、このヒックス粒子の影響を受けないので、質量はない。光は、スキ-場を飛ぶ鳥に例えられる。空間を飛び回っているので、雪の影響を受けないのである。

 

 

 

以上のようにダ-クマタ-の候補は色々と考えられてきたが、現在では全て否定されている。

 

では、ダークマタ-とは何なのか。今は素粒子物理学の中にある新粒子ではないかとされている。

 

「素粒子物理学」

 

物質の最も基本的な構成要素(素粒子)とその運動を研究対象とする物理学の一分野。

 

現在急速に発展している分野で、活発な議論がなされている。例えばニュ-トラリ-ノ、グラビティ-ノ・・・。

 

共に非常に重い粒子で、ダークマタ-の有力候補。現在は理論的に言われているのみで存在は確認されていない。

 

 

 

今日は宇宙には、見えないものがあるが、それがダ-クマタ-であることを話した。

 

 

 

「コメント」

 

邪馬台国の九州説・畿内説論争は、原データは魏志倭人伝にのみに拠って、百家争鳴。素人も勝手に言える。

 

それと全く違って、この物理学の議論は、論理的にかつ実証的に解明する凄い研究。素人には全く筋道が分からない話ばかり。しかし、現在の宇宙物理学の先端に少し触れた気がした。次が楽しみ。