170707「変わりゆく気候 気象のしくみと温暖化」

 

「四季のある国 日本」

(はじめに)

日本人は四季があるのは当たり前と思っている。一方、長い間に気候が変化しているのも実感して

いる。21世紀になって日本の気候は変わりつつある。2016年の日本の平均気温は、統計開始

以来最も高くなった。日本の気候がどう推移してきたのか、今後数十年どう変わっていくのか、何故

そうなるのか、身近な気候や気象の話から始めて温暖化が気候気象にどういった影響を与えるのかを考えてみたい。

 ・パリ協定

  2016年11月にパリ協定が発効した。この協定は産業革命前からの地球の気温の上昇を、

  2度未満に抑える為に、世界の温室効果化ガスの排出量を今世紀後半には実質0にする目標を

  掲げている。

「地球の自転軸の傾き」

日本には夏と冬の温度差がある。世界にはそう変化しない国もある。 

 東京 20℃以上   バンコク 5℃以下

・緯度による温度差

日本に四季を齎しているのは地球の自転軸の傾きが原因である。地球誕生時には、自転軸は太陽に垂直であった。この為太陽は常に赤道上にあり、四季はなかった。自転軸が傾いたのは、天体が地球に衝突した衝撃の為である。この為、低緯度地域では受ける太陽エネルギは大であり、低緯度地域では小となる。一方地球は赤外線の形でエネルギ-を宇宙空間に放出している。この為緯度30度を境にして、次の事が起きている。

・低緯度地方(緯度30度未満) エネルギ-収支は黒字  温暖化していく

・高緯度地方(30度以上)    エネルギ-収支は赤字  冷却していく 

これによって、緯度による温度差が発生する。

・夏・冬の温度差

地軸の傾きによる夏冬の温度差は異なる。低緯度地方は少なく、高緯度では大きくなる。

「夏・冬の温度差」

・日本 20℃  

夏は太平洋高気圧で高温となり、冬はシベリア高気圧で低温となる。同緯度の中では寒暖の差が

大きい。最高気温の月 8月。これは世界でマレなことである。

・シベリア・カナダ北部 40℃

「最高温度の月」

・ユーラシア大陸・北米大陸  7月

・日本                8月 

・太平洋・大西洋・インド洋   9月

これは陸と海の温まる時間に差があるからである。夏至は6月下旬。7月に地表は最高温となるのが一般。しかし海水温の上昇は遅れる。日本は温まり易い中国大陸と、温まりにくい太平洋に挟まれているので、その中間となる。 

「降水量」 日本は世界平均の2倍

日本 1700mm、パリ・ロンドン 500mm、ワシントン・ニューヨ-ク 1000mm

サンフランシスコ・ロス 300mm

日本の特徴は短時間に強い雨がふる。 記録は、850mm(高知)。最大は 屋久島の4500mm

「台風」

北太平洋西部・南シナ海に発生して、アジア大陸・フィリピン、日本列島などに襲来する、中心付近の最大風速172m以上の熱帯低気圧。未満のものは弱い熱帯低気圧という。日本には年平均11個が接近する。(広辞苑)

・台風の発生しやすい所は、フィリピン海・西太平洋で海水温の高い所。

・発生のメカニズムは、水蒸気が凝結して出る凝固熱をエネルギ-として発生し、高温の海水から

 エネルギ-を補給して発達する。一方地表面との摩擦熱で勢力を弱める。上陸したり、冷たい海域

 ではエネルギ-を断たれる。

 北西太平洋で発生する台風は126個、日本に上陸するのは3個。

・台風は、低緯度の熱を高緯度の地方に運ぶ等、地球の気候維持に様々な働きがある。

・水資源確保に貢献する。台湾では年間降水量の40%が台風由来である。

「日本海側に雪が多い訳は」

原因は日本海があることに尽きる。

・日本海には暖かい千島暖流が南から、そこへシベリア大陸から北西季節風で冷たい寒気が吹き

 付ける。この為日本海には多量の水蒸気が発生する。この為雪雲が発達して、日本の背骨の山脈

 にぶっつかって上昇し発達して大雪となる。

・極端に多くの雪となる時には、冬型の気圧配置が強まり、その時日本海には強風が吹き荒れる。

 この時「日本海寒帯気団収束帯」が出来る。これができる原因は、北朝鮮北部の白頭山の影響である。北西からの風が、この山に当たって、二つに分かれ再び日本海で合流し、上昇気流となって大雪となるのである。

・まとめると日本海があること。寒気の流れ道に山があって、収束帯を作るからである。

「日本の天気の変化は西から」

日本の変化は、文化も気象も全て西からである。これは偏西風の為である。

「偏西風」

緯度30度~60度にかけて見られる西寄りの風。冬季には高速になり、ジェット気流と呼ばれる。

天候を西から東に変える原動力である。赤道付近の高温と、極地附近の低温を、均一にしようとす

働きがある。

太陽より地球が受け取るエネルギ-は、赤道中心の熱帯が最大であること。この事が地球の大気の流れの大元である。この為に熱帯は高温で水蒸気量も多く積乱雲も出来易い。

上昇気流に乗って10kmに達すると、亜熱帯地方に向けて横に移動していく。亜熱帯の気圧の高い所から、亜寒帯の気圧の低い所へ風が吹くが、「コリオリの力」の影響を受けて西風となる。これが

偏西風である。

「まとめ」

今日は日本の気候の特徴をいくつか紹介した。四季は日本では常識でも、世界では当たり前では

ない。西に大陸、東に太平洋がある島だからこその日本の気候である。

 

「コメント」

偏西風の大元が熱帯にあるのは初めて知った。そして、台風も地球全体のエネルギ-のバランスから発生していることも。日本人たる特質も、これら自然現象から発しているのだ。自然が人間を作っている。 講義の中で理解不能な所はしいつもの省略。ほんの大意のみ。