170714「異常気象をもたらすジェット気流とエルニ-ニョ」

 

「講義概要」

日本に異常気象をもたらす要因としては、高度10kmで、新幹線より早く吹く世界最強の偏西風と、

東部太平洋の海水温が上昇して熱帯の降水域が東に偏るエルニ-ニョ現象による影響が多いと

される。中緯度にあって大陸と海洋の境目に位置する日本列島の天候は、熱帯からも北極からも

影響を受ける。この南と北の綱引きで決まる日本列島の天候予測はとても難しいのである。

日本の気象を決定する要因→偏西風・北極振動・ブロッキング現象・南方振動・貿易風・エルニ-ニョ現象

(偏西風) 広辞苑+web

南北両半球の中緯度地方の上層を一年中吹く西寄りの風。偏西風の成因は高緯度と低緯度の

温度差によって生じる気圧差と、地球回転の影響による。極を中心に中緯度帯を一周する偏西風は、南北に蛇行して流れる。偏西風は蛇行することによって、南から暖気を、北から寒気を運び、

地球全体の温度を調節する。偏西風の中でもう一つ重要なことは、その中で特に風速の強い狭い

区域・ジェット気流を形成することである。

この気流の存在は、雲・火山灰・気球の動き・航空機が上空で受ける追い風、向かい風などから実感される。低気圧や台風、前線などが東進し、それに伴い天気も西から東へ移るのもこの影響である。

(エルニ-ニョ現象) 広辞苑  

数年に一度、西太平洋のベル-沖から中部太平洋赤道域にかけて、海水温が平年に比べて1~2度高くなる現象。世界各地に高温・低温・多雨・旱魃などを齎す。逆の現象をラ・ニ-ニャという。

通常、太平洋の熱帯域では、貿易風と呼ばれる東風が常に吹いているため、海面付近の暖かい

海水が太平洋の西側に吹き寄せられている。西部のインドネシア近海では海面下数百メートルまでの表層に暖かい海水が蓄積し、東部の南米沖では、この東風と地球の自転の効果によって深いところから冷たい海水が海面近くに湧き上ってくる。このため、海面水温は太平洋赤道域の西部で高く、東部で低くなっている。海面水温の高い太平洋西部では、海面からの蒸発が盛んで、大気中に大量の水蒸気が供給され、上空で積乱雲が盛んに発生する。

・エルニ-ニョが起きると、西太平洋地域では積乱雲の発生が少なくなり、少雨となる。1987年~1888年は最大のエルニ-ニョ→東南アジア、オ-ストラリアの大旱魃・スマトラ、マレ-半島、

ボルネオの森林火災。この火災の煙害が周辺に影響した。

・エルニ-ニョが発生している時の日本の天候は、夏は低温で降水量が多くなる。(夏の太平洋高気圧が弱くなるため)冬は西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる。この様に、冷夏暖冬になり易い。

  (ラニーニャ現象)

西太平洋のベル-沖から中部太平洋赤道域にかけて、海水温が多く下がる現象。科学的に解明

されているわけではないが、太平洋高気圧が優勢となり日本では夏は猛暑、冬は西高東低の気圧

配置が強まり低温となる傾向がある。

(北極振動)

北極圏が高気圧帯になったり、低気圧帯になったり交互に入れ替わる現象。高気圧帯になると、

日本などを含む北半球の中緯度が低気圧帯となり、寒気が放出され大雪や寒波を齎す。逆に低気圧帯になると日本付近は高気圧帯となる。寒気は北極圏に留まり、日本付近は暖かくなる。シ-ソ-的に変動する現象である。

  (ブロッキング現象) 

移動性の高気圧、低気圧は普通偏西風に流されて東進するが、それが中緯度の対流圏を貫いて

長期間停滞する優勢な高気圧(ブロッキング高気圧)の西側で、南北への迂回、逆行などを示す

現象。(広辞苑)ブロッキングが起きると同じ天候が長期間続く。

2003年の欧州での熱波、2010年のロシア熱波、東アジアでブロッキングが起きると日本にも影響する。夏にシベリアで発生したブロッキングはオホ-ツク高気圧を停滞させ、東日本の太平洋側に

冷たい北東の風が吹き、低温・日照不足となる。この様にブロッキングが起きると異常気象となる。

  (南方振動)→エルニ-ニョ(ラ・ニーニャ)の発生 

日本の気候変動に大きな影響を及ぼすのがエルニ-ニョであるが、その原因を作るのが南方振動である。熱帯太平洋上の気圧が数年単位で変動する現象。日付変更線より西側で気圧が高くなるときは、東側で低くなり、西側で低くなる時は東側が高くなる。この現象はエルニ-ニョとラ・ニ-ニャの

交代と一致している。南方振動の変化→貿易風の強弱→海水温の変化→エルニ-ニョ(ラ・ニーニャ)の発生

長年の観測と研究の結果、大気中に起こる南方振動と、海で起きるエルニ-ニョ(ラ・ニーニャ)が

密接に関連していることが分かってきた。

  (貿易風) 

亜熱帯から赤道に向って吹く東風。ほぼ定常的に吹くので帆船時代の貿易に利用された。この風の強弱によって太平洋の海水温が影響されて、エルニ-ニョ(ラ・ニーニャ)の発生原因であるとされる。

  (エルニ-ニョとラ・ニーニャの影響)

・エルニ-ニョ

 貿易風が通常より弱い時、太平洋・赤道域では、中部から東部(南米沖)で海面水温が高くなる。

 その為積乱雲の発生する地域が平常時より東に移動する。 

・ラ・ニ-ニャ

貿易風が通常より強い時、太平洋の西に高温の海水が蓄積される一方、中部から東部(南米沖)で

冷たい海水の湧き 上りで、海水温は低下する。

「モンス-ン」

アラビア語mausim(マウシム)に由来する。インド洋及び、東南アジアにおいて、夏季は南西から、

冬季は北東から吹く季節風の事。モンス-ンは夏と冬に定期的に逆方向に吹くことから、インド洋ではモンス-ンを利用した航海・貿易が古くから行われていた。

モンス-ンの原理は、海陸風と同じである。大陸は温まり易く冷えやすい一方、海洋は暖まり難く

冷え難いという特徴がある。その為夏季には大陸上の空気が暖かくなり上昇気流を生じ、それを補うために海洋から大陸に季節風が吹く。 

逆に冬季には海洋の方が暖かくなるので、大陸から海洋に季節風が吹く。 

・アジアモンス-ンの源流はアフリカ東岸のマダガスカル付近で発生し、インド洋の湿った空気の

供給を受けて、ベンガル湾→インドシナ半島→中国南部を経て日本に達する。湿潤な気候を齎す

ので稲作の好適地となる。

・日本と中国の交易はこの季節風を利用して行われた。

「日本の気象予測」

大陸と海洋の境目に位置する日本の気象は、モンス-ン・偏西風・エルニ-ニョ等の影響を受けて

複雑となり、予測が困難な地域である。

 

「コメント」

日本の気象は世界的な様々な要因の影響が重なり合って、現出していることは分かった。そして

それが生活に大きく関わりあっているのだ。地球全体では、エネルギ-を平準化しようとして大陸・海洋の熱交換が行われているのだ。

今日の講義の理解は難しく、飛ばしながらまたWEBで確認しながら作成。シンド。