190315⑩「現代の薬と毒2-麻薬・覚醒剤・大麻と危険ドラッグ」

 

これまでも人の精神や行動に作用する薬物は存在していた。ケシ→アヘン→モルヒネ→ヘロイン、

それからエフェドリンの化学誘導によって生み出されたメタンフェタミン(商品名 ヒロポン)、南米の

民族薬であったコカかられるコカインなど多大な悪弊を引き起こす化合物が乱用されるようになる。

しかしこの分野の発展はマイナスばかりではない。今までは物理的に拘束しなければならなかった

精神を病んだ人々には、福音となった。

「プロカイン」

コカインの化学構造を参考に作り出された合成局所麻酔薬プロカイン。歯科治療などの分野で

役立っている。

「合法ドラッグ」 

大麻の主成分であるTHC(テトラヒドカンナビノ-ル)が、結合する受動体が見つかり、このTHCに結合する化合物を見つけ出せれば、合法な合成大麻が作られるのではないかという考え方から作られた化合物がある。これがいわゆる合法ドラッグ、または脱法ドラッグといわれるものである。2014年から、これらは危険ドラッグといわれるようになる。

「大麻」

アサから製した麻薬。栽培種の花序からとったものをガンジャ、野生の花序や葉からとったものをマリファナ、雌株の花序と葉から分泌される樹脂を粉にしたものがハシシュ。総称して大麻。

アサ  植物の大麻を指す

麻   その繊維をさす

大麻  規制薬物というイメ-ジ

なぜ、大麻と書くかというと胡麻・麻黄とか麻のついた植物はいろいろ有って、その中で区別するために大麻という名がついたのである。日本薬局方にもある。

大麻は有用な植物で、今でも下駄の鼻緒、和弓の弦、神社のしめ縄などに使われ、丈夫さや白さが珍重されている。

「聖アンソニ-の火」 既述  →麦角菌-LSD 

イネ科植物及びカヤツリグサ科植物の穂に寄生する麦角菌アルカロイドによる麦角中毒による毒性である。

血流が悪くなって手足の先が壊疽を起こす。麦角はエルゴリン骨格を有する。子宮収縮作用があるということで、当時お産に使われていた。この研究の中で、発見されたのがLSDである。現在は「麻薬

及び合成新薬取締法」で規制されている。ただしLSDは麦角に含まれるものではなく、麦角成分で

あるリゼルグ酸の誘導体として人工的に合成されたものである。症状は幻覚の発生。

「インドジャボク」

インド周辺に自生し、根が蛇のようなのでこの名がある。根にレセルピンという鎮静作用、アジュマリンという抗不整脈成分が含まれている。

「麻黄」 エフェドリン→アンフェタミン

マオウ科。中国原産の薬用植物。主成分はアルカロイドの主成分エフェドリン。塩基を取り去るとアンフェタミン(商品名ヒロポン)となる。

「ベンゼン環を持つ薬品」

ベンゼン環とは、芳香族化合物の分子中に含まれる炭素原子6個からなる平面正六角形の環。

これは何らかの形で私たちの脳に作用する可能性があることは知られていた。 

「麻薬及び覚せい剤の規制」

世界の一部の国では、大麻の薬害は軽微であるとして規制対象から外す動きがある。またボリビアでは伝統的薬物として、コカは違法ではない。コカの葉は常習的に噛んでも中毒にはならない

。しかしコカインを純粋に取り出して、服用すると、大きな問題を生じる。

「危険ドラッグの誕生」

覚せい剤や大麻など国が指定する薬物と似た化学構造を持ち、それらと同様の作用を人体に

もたらすもの。合法ドラッグ、脱泡ドラッグ、違法ドラッグなどの呼称もある。

規制すると、すぐよく似た別の薬物が出現し、鼬ごっこである。

「神経ガス」

・フリッツ・ハ-バ-

化学兵器の開発者として、塩素ガスをはじめ各種毒ガスを開発。空気中の窒素を固定してアンモニアを作る製法開発で、ノ-ベル賞。

・日本陸軍の毒ガス

日本では亜砒焼きというが、硫砒鉄鋼を焼くと亜ヒ酸ができる。陸軍は広島県の大野島で、ヒ素を

原料に毒ガスを作っていた。作業者に多くの亜ヒ酸中毒が発生。

 毒ガスの種類は血液剤・・催涙剤・びらん剤・嘔吐剤。

・サリン 

有機リン酸化合物で神経ガス。農薬の研究の過程で出来た。

農薬のパラチオン・オルトランなどはサリンとよく似た化合物である。

 

「コメント」

どこか、「唐人の寝言」みたいなことになったが致し方なし。