科学と人間①「地球と生命の46億年史」       丸山 茂徳(東京工業大学 地球生命研究所特命教授)

160701⑬21世紀の人類の課題~世界統一国家への道

 

「人類の歴史における五つの革命」

人類史を作った文明を構築したのは五つの革命的な変化が原因である。

1、農業革命  1万年前   農業の開始

2、都市革命  5千年前   4大文明に代表される都市文明の誕生

3、宗教革命  3千年前   

4、産業革命  400年前

5、情報革命  現代

   1~4の革命はまずは地球上の1点で始まる地域的な事象で、これらはゆっくりと100年から数百年かけて世界中に

   広がっていったのに対し、現代の情報革命は全世界すべてが同時に巻き込まれという特徴がある。 

「宗教国家・軍国覇権主義国家・民主主義国家」

アメリカの国際政治学者ブル-ス・ラセットは歴史的必然として、王制国家→宗教国家→軍国覇権主義国家経て民主

主義国家に移行する事を示した。現在世界200ヶ国はこの分類になり、50%は民主義国家となっている。

特に注意すべきは民主主義国家には二つの条件がMustであること。自由と資本主義である。この二つが同時に確立されていることが必要である。現在、中近東、アフリカ、中南米、中国・ロシアの一部、東南アジアでの紛争地帯は全てこの

二つの条件が満足されていない。 

東京大学の山本吉宣教授は全世界の国家の民主化度を4つに分類している。 

1ゾ-ン  西欧の民主主義国家・日本・オーストラリア・・・

2

3       中国・ロシア・中東各国・東南アジア

4       アフリカ・中央アジア・中南米

 の第3・第4の地域の動向が今後の世界の命運を握っている。世界のトラブルはこのグル-プから発している。

「民主主義の達成から世界統一国家へ」

世界統一国家のよい具体例がEUである。このような形が、各地域で成立することが求められる。

・北米・南米連合

・アジア、オセアニア  中国・北朝鮮の民主化は難問

・アフリカ         ほとんどの国は国家の態をなしていない。 

・中近東         宗教対立・部族対立 

これらの共同体が連合し、その上に超政府が誕生することが世界統一国家への道筋である。

その為にも、前項で述べた第3・第4のレベルの国々の民主化が喫緊の課題である。

「新たな哲学の必要性」

有史以来の争いは個人であれ国家であれ、自分だけが良ければ思うことから始まっている。全てが潤うという究極の

ゴ-ルを目指さねばならない。世界的超政府が誕生すれば、利益の相互享受を手段として争いからの脱却が可能となるであろう。

しかしこのような人類愛・ヒューマニズムにも限界がある。一つの例として地球環境問題がある。

この問題は全世界的対応によってのみ解決される。問題解決は一国だけでは対応できないのは自明の理である。

そして必要になったのが、ポストヒュ-マニズムの考えである。それは微生物までを愛せよという事である。人間の生活を支えているのは微生物である。微生物を愛するという事は生態系自体を愛することになる。つまり地球を愛せよという事になる。

地球は太陽系→天の川銀河→全宇宙。全宇宙のシステムを理解しその奥深さを享受することが科学哲学の中核である。

これが今後の社会で必要となる新しい哲学である。

「講座のまとめ」

生命の起源や進化と言った自然科学の話題を中心に、宇宙に生命はいるのかと言った注目される題材を取り上げて

きた。

そして、自然科学の発展が応用化学に花開き、人間生活を豊かにしてきた。その論理の延長で、人類社会の未来を考えた。人間の歴史はイデオロギ-が作ったといわれるがそうではない。人類発展のコアには科学の発展があり、その延長として社会の発展、人文科学の歴史がある。その先に人類の未来が見えてくるのである。

 

「コメント」

最後に来て分かったのは、丸山教授には人文系に対する不必要な対抗心、コンプレックス?が底流にあること。事実を淡々と解説していけば、それは事実と論理に基づき、聞く人にも理解されるのに、無理して背伸びして何か「べき論」に持って行こうとして話が飛んでしまう。自分がやったやったといいたいのだ。最後の所などその典型。

高名な理系の学者が、世界平和や人類愛を述べることが多いが、真似してもその域にはまだまだ。

しかしこの3ヶ月、幾度か聞くのを止めようかとも思ったが、これも修行の内と我慢。その内、講師はどんな人だろうと

変な興味が湧いてきて、ついつい最後まで。暇な老人しか出来ない事。