科学と人間「太陽系外の惑星を探す」       井田 茂(東京工業大学 ELSI副所長・教授)

160930⑬「系外惑星探索から地球外生命探索へ」   最終回

 

系外惑星の発見を受けて、地球外生命の存在の議論が活発になってきた。地球に於ける生命の起源・進化の議論を振り返り、系外惑星における生命をどう観測するかを考えてみる。

「化学進化説」   生命の起源の考え方

生命の起源の標準的な考え方は「化学進化説」と呼ばれ、水の中で炭素化合物である有機化合物が結合して、アミノ酸・

塩基・リン酸などが出来て、それらが長く繋がって、高分子化合物である蛋白質・DNAなどの核酸を作ったという考え。

この化学進化説を下敷きにして、生命誕生の必須条件の液体の水の存在領域として、ハビタブル・ゾ-ンという概念が

出てきた。

「太陽系惑星の衛星での生命の存在の可能性」

いわゆるハビタブル・ゾ-ンは、中心恒星(太陽)の放射熱を熱源として考えているが、他の熱源の可能性もある。

重力である。重力が強ければ(近い距離に衛星がある)、衛星自身が変形して生命存在に必要な摩擦熱が発生する。

この為に表面は凍り付いていても、内部には海があるのではと推論されている。

(土星) 

・土星の衛星タイタン→普段は窒素のガスで覆われていて、地球から中は見えない。

  タイタンには1.5気圧の窒素大気がある。NASAと欧州宇宙機関が打ち上げた土星探査機「カッシ-ニ」は、液体の

  メタンが存在することを示唆した。となると、炭素や窒素も豊富である。何らかの生命体がいてもおかしくない。

・土星の衛星エンゲラドス

  同じくカッシ-ニによって、氷の割れ目から水が噴き出すのが観測された。

 

(木星)

木星の四つの衛星のうち、一番内側のイオで硫黄の火山が噴火しているのは知られている。

「系外惑星での生命の存在の可能性」

上記、カッシ-ニの観測により、表面は凍り付いていても重力により内部に海があるのではと議論され始めた。

「環境変動と生命進化」   厳しい環境変化が生命の進化を促す。

地球生命の進化は遺伝子の変異によって起きる。遺伝子を使って自己を正確に複製すると、そこには進化はない。複製の失敗が進化に繋がるのである。地球は46億年の歴史の中で環境の激変に何度も見舞われ、その度に生命は大きく

進化してきた。数度にわたる全球凍結による生命の絶滅・・・・。

「今後の系外惑星探査」 

今までの観測結果を基にして、系外惑星と地球外生命体の議論が盛んに行われている。しかし、分からないことが多く

空想とさえ言われかねない議論も多い。そこで観測の強化が再認識されている。テクノロジ-の進歩は著しく、今は空想でも近い将来科学の分野となる所も多いだろう。

(地上超大型望遠鏡)

  口径30M  日・米・中    口径39M  ヨ-ロッパ

(超大型電波望遠鏡) 

  地球外生命体の電波利用の確認目的。10光年先のスマホやテレビの電波漏れを観測可能レベル

(探査機)

光速の1/3の探査機を系外惑星に送る。

天文学や物理学は、今まで神の分野であった対象を、実証をベ-スとした科学に変えてきた。

今後の進展は大いに期待できる。

 

「コメント」

13回にわたる講義、まさにチンプンカンプン。急遽テキストを買って読みながら、放送録音を何度も聞いては書き、

纏めることの繰り返し。分かったことはとても私には分からないという事。地球46億年の歴史の中で、信じられないような環境激変の中で生命が絶滅し、又再生してきたこと。銀河系には1千億の恒星があり、宇宙には更に1千億の

銀河系みたいなものがあるということ。そして、この分野に全世界のスーパ-頭脳が群れている事。放送大学の講座も見ているが、これはカルチャ-と違って一層理解困難。やはり大学と妙な所で感心している。及第点はとても貰えないけど、出席はしたなという実感。