1611130  古代からの伝言⑥「壬申の乱」   八木 荘司 角川文庫 2010年刊行

 ・読了 20161130

 ・読書の切っ掛け

  友人M氏の読書リストを送って貰って興味のある物を読んでみる。歴史物は様々で、

  学術レポ-ト的なものから、荒唐無稽でこれで歴史ものかと呆れるものまで。このシリ-ズは、

  あくまで我々が知っている?史実に立脚して、それに作者の想像力を働かせて、息もつかせ

  ない。丁度私の趣味、レベルに合うのでシリーズ7巻を読む事とした。

 ・著者

  1939年兵庫県生まれ。京都大学文学部卒。産経新聞社会部。

・あらすじ

  天智天皇は重篤な病となり、大海人王子(天武天皇)が病室に呼ばれ、次の天皇を誰にという

  所から始まる。大海人王子は吉野に逃れ、天智天皇崩後遂には挙兵し不破関に拠る。所謂

  壬申の乱である。天智天皇の遺児大友皇子を擁する近江朝廷側は惨敗し、天武天皇即位。

  大化の改新以来の理想「天皇中心の法治国家」の完成に向けて治世を開始する。

  正しい皇統は大海人王子なのか、大友皇子なのか・・・。

・登場人物

  天智天皇、大海人王子-天武天皇、鸕野讚良(うののさらら)-持統天皇、高市皇子、

  曽我赤兄・・・・・

・コメント

  この後も皇位継承での騒乱、暗闘は続く。兄弟相続なのか、直系なのか。母の身分は?

  これに豪族たちの思惑が絡んで果てしない争いが続いて行く。本作品は、私の常識とする

  史実に比較的忠実に描かれているので、無理なく読み続けた。心地よく。又いわゆる歴史学者

  への批判、皮肉が随所に伺われるのも面白い。古代の三関の内、二つ鈴鹿関・不破関が

  出て来て、その重要性も理解できた。