歴史再発見 漢字と日本語の文化史      

                      早稲田大学社会科学総合学術院教授 笹原 宏之

 

    130820 手紙を書くときに使う漢字 (今日の漢字) 様・〆・恋

手紙には古来、堅苦しい決まりがあり、これもあって手紙を出す人は減少している。しかしその規則に当てはめて書けば礼を失することもなく,意がうまく伝えられる。

  

「手紙に使われる漢字の例」 誤用・間違いの例

・賀正  目上の人には使うべきではない。謹賀新年が無難。

・様  様には目上・同輩・目下でさまの字を使い分けていた。様の右の作りの下を変化させる

    目上→ 永(永サマ)   同輩→次(次さま)   目下→水(水さま)

    常用漢字表では 様(水さま)が使われるようになった。ごく少数の人が今でも使い分けている。 

・宜しく  宜と宣の誤用が多い。  宜しくは、宣伝の宣ではない。 

・封〆  若い人には手紙を書いて封〆をしないで出す人が多い。元々卜から来ていて、漢字ではなく国字。

       乄 〆と書くところをα・×で書く若い人がいる。

・戀しい 変しい   青い山脈   これを区別するために昔の人は「糸しい糸しい戀心」と覚えた。

       今の人は「恋は下心 愛はまごころ(真ん中)

・若い男が間違える字  俺 僕 

()  最近メ-ルでよく使われる。菊池寛の発案で、雑誌でよく使われた。座談会の記録にその雰囲気を表す言葉として使われた。それが若い人のメ-ルで使われるようになった。

「感想」

・何とも中途半端な話で、書きようがない。

・だが私もよく考えると宜しくは、往々にして間違えていたような気がする。

・様は使い分けてみるか。但し活字にはないので手書きだけだけど。