詩歌を楽しむ「サイモンとガ-ファンクルの歌を楽しむ」上智大学教授 飯野 友幸

 

    131115 「ブックエンド」というコンセプト・アルバム

Book End」というコンセプト アルバムについて話す。コンセプトアルバムとは、ある一貫したテ-マの元に作曲されたもの。

「音楽の変化」

・当初Rock’n’ Rollは1950年代後半から10代の若者中心に爆発的流行となったが、だんだん飽きられてくる。

単に感情的に爆発するだけのものから、じっくり聞く音楽に変化していく。

・ビートルズの「Sgt. Pepper's」に代表される。これが最初のコンセプト アルバムと言われる。

・同じようなことがジャズの分野でも起きる。1930年代からSwingという形式が流行っていたが、1940年代後半から

 Bebopが出てくる。Swingはビッグバンドが演奏するダンスの伴奏音楽であるが、ジャズ本来の即興演奏が求められるようになる。このBebopがモダンジャズの幕開けと言われる。

・このような変化に触発されて1968年にS&GBook End」というコンセプトアルバムを出す。これは彼らの頂点を示すアルバムである。

S&Gの変遷」

1、   デビュ作 「水曜の午前3時」

2、   Sounds of Silence」  最初のヒットアルバム

3、   Parsley, Sage, Rosemary and Thyme

4、   映画「卒業」の為の曲  Mrs.Robinson 他

5、   Book End」 最初のコンセプトアルバム

6、「Bridge over Troubled Water」(明日に架ける橋) 最大のヒット  最後のアルバム

Book End

・このアルバムには(人が老いていく事への考察)という主題がある。組曲風の構成。彼らの生真面目さが現れている。

・曲の構成  テ-マ→幼年期→青年期→中年期→老年期

  1. ブックエンドのテーマ - "Bookends Theme"
  2. わが子の命を救いたまえ - "Save the Life of My Child"
  3. アメリカ - "America"
  4. オーバース - "Overs"
  5. 老人の会話 - "Voices of Old People" (Paul Simon, Art Garfunkel)
  6. 旧友 - "Old Friends"

Old  Friendの訳詩 の一部

 オールドフレンズ                      
  残り少ない日々を共にする仲間たち
  コートにくるまったまま
  日が沈むのを待っている

僕らもいつかああやって、ベンチで静かに
  最後の季節を迎えるようになるのか?
  70歳になった自分なんて、想像出来るもんか

1941年生まれ、今年72歳。今この曲をどう歌うのか、どう思うのか聞いてみたいものだ。