詩歌を楽しむ「サイモンとガ-ファンクルの歌を楽しむ」  

                                        上智大学教授 飯野 友幸

   131226 「恋人と別れる50の方法」

 今日は、S&G解散後の曲を取り上げる。世界中で大ヒットした「あすに架ける橋」はグル-プとしての最後の曲。

  

「サイモンのソロとしての活動」

・サイモンの「サプライズ」2006年は、アンビエント音楽を普及させた曲と言われる。アンビエント音楽とは、環境音楽とも言われ、意識して聞かなくともいい音楽、つまり流しておく為の音楽である。

・職人のように同じ事を淡々と繰り返す、同質の音楽を発表し続けるのも一つのやり方ならば、繰り返さず新たな可能性に挑戦するのも音楽家の姿勢と言える。サイモンは、完全に後者である。

・民族音楽に挑戦していた時期もあったが、サイモンのまだ少年っぽい、傷つきやすい優しい声はそれにはそぐわない。

・サイモンの音楽は、結局の所メロディ-にこそ魅力があると思う。美しいメロディに読み応えのある詩が乗るので一層人の心を打つ。よってPOPな曲が一番ふさわしい。最初のヒット「Sound ofilence」もこれである。

 

恋人と別れる50の方法」  要約  サイモンのソロとしての曲

 "一人で悩んだって始まらないわ"彼女は言った  "落ち着いて考えれば簡単なことよ
  苦しんでいるみたいだから助けてあげたいの 恋人と別れる方法なんて、50種類以上はあるのよ

  "スレた女と思われるかもしれないけど   もう一度言うわ
  恋人と分かれる方法なんて、いくらでもあるのよ!  女を捨てる方法なんて・・・・、

  いくらでもあるのよ・・・

   "こっそり離れてしまいなさいよ、ジャック  もっとマシな事考えなさいよ、スタン
   恥じることじゃないわ、ロイ"

    "よく聞きなさいよ!  バスに飛び乗っちゃえばいいのよ、ガス  じっくり話し合う必要

   なんかないわ
  部屋の鍵を捨ててしまいなさいよ、リー  それであなたは自由になれるのよ

  彼女は言った "今夜、私と寝てみない? 明日の朝になったら、ベッドで答えが見つかるはずよ"
  そして彼女は俺にキスをした。    そういう事か・・・、俺は理解した。
  "確かに、恋人と別れる方法なんていくらでもあるんだ"

   "女を捨てる方法なんていくらでもあるんだ"
  (遊びだったと考えればいい。 遊びだったと割り切ってしまえばいい、それだけの事さ!)

 

・「Mrs Robinsonを思い出させる詩、皮肉で滑稽な雰囲気。年上の女が、若い男にアドバイスしながら刹那的な恋人になっていく。

 ・よく分からない状況だけど、詩というのはどこか謎めいた所が残っていて、すべて説明できなくともいいものだ。

 ・英文では、各文節が韻を踏んでいた、効果を上げている。

 

(まとめ)

    サイモンの詩は、紋切り型のラブソングではなく、アメリカの歴史と社会、つまり文化全体を表しているといえる

    これらの状況を選び抜き、考え抜いた言葉で表見した所に特徴がある。そこには詩人サイモンの感性と創造性が見事に働いている。