科学と人間①植物の不思議なパワ- 甲南大学教授 田中修
150412②光合成を発見するまでの足跡
「光合成の発見」
光合成と言う反応は葉をどんなに丁寧に見ていても分からない。昔の人は葉がそんなに大切な役割をしているのと思わなかったし、
葉は飾りとしか思っていなかった。発芽して最初に出てくるのが葉であると気付く。葉を取り去ると成長が止まる事にも気づき、葉が
大切な役割をしていることも理解する。
(フリースト-り-) 光合成の仕組みに気づくきっかけは、この人が、実験をした事に始まる。
・密閉したガラス容器でローソクを燃やす→次第に消える。酸素が無くなってしまう事は当時分かっていなかった。
・ネズミを入れる→次第に弱って死ぬ。 酸素不足
・次に植物を入れる→枯れると思っていたら元気 ここから次のステップに入る
・ローソクをもやし、そこに植物を入れる→ ロ-ソクだけの時より長く燃え続ける
・ネズミを入れて、そこに植物を入れる→ネズミだけの時より長く生きる
結論→ 植物はロ-ソクを燃やし続け、ネズミを生かし続ける気体を出している これを学会に発表
所がこれが、物議を醸す。是には光が必要と気付いていなかったので、暗い所では再現できなかったのである。
(インゲンホ-ス) この混乱を鎮めた人 フリ-スト-リ-の結果を再現するのには明るい光が不可欠であることを突き止めた。
そして植物の葉から気体が出ているとされる存在を突き止めようと工夫した。水草を使った。
・水の中の水草に光を当てると気泡が出て、上部に溜まる。これに火を近づけると燃える。こうして酸素が出ていることを目に見える
ようにした。
(セネビア)
水の中に何を入れておけば、そのような気体が発生するか調べ、それがCO2である事を発見した。
(ソシュ-ル)
・密閉したガラス容器の中で植物を育て、植物が成長した後CO2が無くなっていることに気付く。という事は、植物はCO2を吸っている。
(小学校の実験)
植物の葉を黒い紙で一部分覆い、光を当てる。この葉をアルコ-ルにつけて電子レンジに入れ少し加熱。緑色は溶けだし、真っ白に
なる。色素である葉緑素(クロロフィル)はアルコ-ルに溶けるのである。これを沃素液に漬けると、でんぷん質が青紫色にそまる。光が当たった所にはでんぷんが出来、当たらなかったところはでんぷんは無いことが分かる。
これで、植物は光を受けてCO2を材料にでんぷんを作っていた事が分かる。
「光合成に使われる光とは?」
太陽の光の中には色々な色の光が含まれている。植物の光合成を考えるときには青・緑・赤の三色として考える。
・葉は何故緑色に見えるのか。
葉が緑色を出しているのではない。自分で色を出しているのなら暗闇でもそう見える筈。葉は青と赤を吸収し、緑を反射又は
透過させる。我々はその反射した緑色を見ているのだ。
・その吸収された赤と青は何に使われているのか。多分、光合成に使われていると想像される。エンゲルマンと言う人が証明する。
光合成をしているなら、酸素を出しているはず、CO2を吸収しているはず。
(エンゲルマン このことを証明する。
・まず酸素が大好きなバクテリアをアオミドロの周りに置き、光を当てる。光合成をしていると酸素が出るので、バクテリアが集まる。
・エンゲルマンはアオミドロにプリズムで作った色々な色を当てる。その結果、赤と緑の光が当たった所には光合成が起き,
酸素が発生し、バクテリアが集まることが分かった。役に立たない緑色は反射してしまう。
「海中の海藻類はどうであろうか。緑色でないものがある。」
海藻類は必ずしも緑色ではない。それぞれの深さに届く光の色が違ってくるので吸収する色が陸上とは違ってくる。
・浅い所 緑藻類 緑色→ アオサ 青のり
赤・青・緑の光が届くので陸上と同じ緑色となる
・中位の深さ 褐藻類 茶色→ワカメ テングサ ヒジキ モズク
赤色が届かなくなるので、青と緑を吸収する
・深い所 紅藻類 紅色→ 緑の光だけ届くのでこれを吸収
今日のテーマ
光合成を発見するまでの足跡
何故陸上の植物の葉は緑なのか
海の中には緑色でない海藻がいる理由