科学と人間①植物の不思議なパワ- 甲南大学教授 田中修
150410②人間を養う植物たちの力
食を支える三大穀物 トウモロコシ・稲・小麦。これで世界を三分している。主として、トウモロコシはアメリカ、稲はアジア、小麦は
ヨ-ロッパで消費されている。年産量合計は22億トン、300Kg/1人なので、生存必要量150Kgは十分満たしているが、不足するのは畜産の為。現在では、世界人口71億人の内、10億人が飢餓状態と言われる。
(参考 米一石は150Kg、人1人分/年の米の量を表す)
「家畜の肉 1Kg生産に必要な穀物量」→ 牛 8Kg、豚 4Kg、鶏 2Kg 牛は飼料効率が、鶏の4倍悪い。
・現状では肉の消費量は増加の一途で、必要穀物は不足の一途
・人間が肉を食べるようになったのは、効率的に蛋白質を取る為。肉を食べてアミノ酸を作り、タンパク源としている。
「日本の米食事情」
地球上の人口の1/2が、米主食。
生産される稲の種類の減少
売れる、作り易い、旨いという点から(コシヒカリ)が40%、その他もコシヒカリ系が殆どである。これらは殆ど同じ遺伝子を持っているので何か異常があれば、この種は一斉にダメになる。昔はそれぞれの地方で、独自の種類が存在した。
品種は種子安全保障の観点からは、多いほど望ましい。アメリカでの小麦生産でも同じ傾向。
米の消費量の減少
・118Kg(1962年)→61Kg(2006年)→57Kg(2013年) この様に50年で半減
・パン消費の増大 2011年に消費額が、米を追い抜いた。
・これは全く困ったこと。食料自給率の極めて低い日本で、100%自給できる米から、自給率12%の小麦を原料としたパンへのシフトは由々しい事。フランスの元大統領ドゴ-ルの言「食料を自給できない国は、独立国ではなく二流国である」
・2013年に和食が無形文化遺産に登録されたが、和食の中心はご飯である事を、忘れている。
簡便を目的としたパン食は見直して、古来から日本人の健康を支えてきた米飯に戻るべき。
・「江戸わずらい」
江戸では白米を食べる習慣であったので、江戸では「江戸わずらい」と言って、脚気で流行した。これはビタミンB1欠乏。
白米では、ビタミンB1は白米の1/5に減少している。
・明治期の日清・日露戦争時の脚気
日清戦争 脚気患者 4万人(内4千人死亡) 日露戦争 25万人(内3万人死亡) 戦死者数より多い。
海軍では西欧軍隊に脚気が無いのをヒントにして麦飯としたのに対し、陸軍では脚気を伝染病として対策が遅れた。この時の責任者は 森 鱗太郎 後の森 鴎外である。
「コメント」
・所々興味深い所もあるが、全体的に漫談調で学問的でなさすぎる。
・講演会の対象をかなり低い所に置いている感があり、少し不愉快。
今後の展開を見よう。