科学と人間「太陽系外の惑星を探す」 井田 茂(東京工業大学 ELSI副所長・教授)
160715②「異形の系外惑星」
太陽は銀河系を構成する星の中で特別な恒星ではなく、宇宙では太陽の様に惑星を引き連れていても不思議ではない。
太陽以外の恒星を回る惑星を系外惑星という。1995年以降、この系外惑星が続々と発見され始めた。しかし今までの
太陽系の常識ではない惑星が続々発見された。
○我々の太陽系の形
太陽系惑星は内側から、小型岩石惑星→地球型惑星(水星・金星・地球・火星)、巨大ガス惑星→木星型惑星(木星・
土星)、中型氷惑星→海王星型惑星(天王星・海王星)となる。
・地球型惑星 水星・地球・火星・土星
岩石のマントル(外層部)と鉄のコアという構造。小型で太陽に近い領域。
・木星型惑星 木星・金星
木星の質量は地球の318倍。太陽から5.2天文単位で12年で公転している。
(天文単位 太陽系内の距離の単位、太陽と地球の距離1億5千万km。)
木星の外側6天文単位に土星。公転周期は30年。両者ともH、Heを主成分として、コアには氷、岩石。
・海王星型惑星 天王星・海王星
外層部のH、Heは薄く、主成分は氷・岩石である。
○太陽系の形成
以上のような太陽系惑星の並び方には必然性がある。
・恒星(太陽)の成り立ち
銀河に浮かぶH、Heを主成分としたガス雲の密度の濃い部分(分子雲コア)が自身の重力で収縮して生まれる。
収縮して温度が上昇して、水素の核融合で輝き始める。
・惑星
太陽生成の過程で周辺の凝結してまず小さな惑星が出現し、それが集まって惑星となっていく。
外側では氷など個体材料の多い大型の惑星が出来、重力で周囲のH、Heガスを吸い込み、巨大ガス惑星(木星・金星)
となる。一方もっとも外側の天王星や海王星ではコアが出来るのに時間が掛かりすぎて、周囲のガスが無くなったので
H、Heを吸い込めず中型の氷惑星となった。
○系外惑星
太陽系の常識では理解できない惑星ばかりが発見される。
(ホットジュピタ-) ペガスス座51番星
1955年人類が初めて発見した系外惑星。質量は木星の1/2という巨大惑星。
中心の恒星から0.05天文単位という信じられない至近距離。公転周期は4.2日。天文学の常識から外れている。
巨大惑星は中新世から数天文単位というのが常識だった。ホットニュ-ス、恒星からの距離が近いので温度が高い
という意味でホットジュピタ-と呼ばれる。
(エキセントリック・ジュピタ-) 楕円軌道巨大惑星
中心星との離心率が大きくいわば歪んだ軌道で公転しているのである。「奇妙な、常軌を逸した」と
いう意味でエキセントリックと呼ばれた。太陽系ではほぼ円軌道を保って公転している。
こんな惑星が太陽系に在ったら、弾き飛ばされるか太陽に吸収されるかどちらかである。
(多重異形惑星) アンドロメダ系ウプシロン星系、GL876星系
ここではホットジュピタ-(近い天文単位の星)とエキセントリック・ジュピタ-(楕円軌道)二つを持っている。
(逆行惑星)
中心星の辞典と逆方向に公転する惑星。
○系外惑星発見での議論
・太陽系以外ではどうも太陽系と違った惑星の動きがあるということが分かった。すると太陽系は特別で、生命の存在
する地球の存在は奇跡だという人も出てきた。→系外惑星には生命は存在しないと。
・西欧人は根源的な話になると地球は特別であると結論づけしやすい、これは未だキリスト教の影響を受け易いから?
「コメント」
話が科学でなく宗教・哲学になってきたのか。しかし今の科学レベルでは地球の生成、存在は極めて幸運な偶然で
在ったとしか説明できないという事であろう。開明は今後の進展を待つしかない。
個人的には生きている内に宇宙生命体との遭遇を期待したい。