私の日本語辞典「万葉歌人の植物観」
講師 木下武司 帝京大学教授 東京大学薬学部卒
③「さくら」 2012年12月15日(土)
「さくら」 44首 万葉集では少ない これはサクラを詠んだと思われる70首近く
単に「花」と表現されているせいでもある。
Ex 青丹によし寧楽の都は咲く花の匂うがごとく今盛りなり 小野 老
あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいと恋ひめやも 山部 赤人
(山桜の花が、何日もこのように咲くのならこんなにも恋しく思わないで済むのに)
・ウメは119首で万葉集を代表するのはウメという人もいるがそうは思わない。
ウメの119首のうち、約1/3は大友旅人が太宰師として筑紫にいたとき観梅宴で歌ったもの。中国の模倣で旅人の一種のパフォ-マンス。ウメの歌も旅人を除けば少なくなる。
・この時のサクラは山桜で都から離れた山に咲いているサクラをうたったものが多い。この時期サトザクラはない。
・歌が少ないのは身近になかったせいもある。→遠くに出かけないとみられない。
・二次林に生える。 山火事や伐採などで、一次林が破壊された後に生じる森林。
・古代人にとって農作業の目安。決まった時期に一斉に咲くから。卯の花(うつぎ)も同じ。 催事植物という。
「さくら」の語源 ここからはWEBからの引用
さくらの語源については、いくつかの説がある。
その一つに、古事記に登場する「木花開耶姫」(このはなさくやひめ)のさくやが転化したものだという説。
また、さくらの「さ」は穀霊(穀物の霊)を表す古語で、「くら」は神霊が鎮座する場所を意味し、「さ+くら」で、穀霊の集まる依代(よりしろ)を表すという説。
昔から、桜の開花が農作業の目安の一つになっていたことを思えば、いにしえの人々が桜に実りの神が宿ると考えたとしても不思議ではない。
農耕をつかさどる神様(サ神)が種まきの頃山から降りてきてその木(さくらの木)に座って収穫時まで見守っているという言い伝えあり。
木の花 木に咲く花。特に桜の異称。
木の花咲耶姫 瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の妃 海幸彦/山幸彦の母 富士山の神 浅間神社の祭神
この時の雑談
・うめに鶯 うめに鶯は間違い。中国の漢詩に「梅と鶯」を歌ったものがあるのでその単なる模倣。
・サワアララギ サワヒヨドリの事→ヒヨドリバナ