200510⑥「腸はただの消化器官にあらず」

「人間と虫」

古来人間は体に虫がいて、これが体を動かしていると思っていた。

日本語の言い方「虫が収まらぬ」「虫がしらせる」「虫も殺さぬ」「虫が好かない」「虫の居所が悪い」「虫唾が走る」・・・・・

 

前回の質問から入ろう。「腹に関する言葉」 腹と心が関係している言葉が多い。

腹黒い・腹が立つ・はらわたが煮えくり返る・腹を決める・腹をくくる・

これは感情と内臓感覚が密に繋がっていることを示している。腸管には交感神経のうち求心性迷走神経が分布している。

 「求心性迷走神経」→脳神経の中で腹部まで到達する神経の一つで、消化器粘膜の刺激を受け

  取り脳へ伝える。

内臓に分布し、体内環境をコントロ-ルしている迷走神経の90%は求心性である。ということは体を

コントロ-ルしているのは腸管であることを示す。

心の状態を示す言葉に腹に関する言葉が多いのは、このことに依る。

「レジリエンス」  元々物理の概念「復元力」であったが、心理学で使われるようになり、回復力、

跳ね返す力とも。

最近は病状により、すぐ抗生物質が使用される。この時に問題になるのは,レジリエンスの弱い

高齢者や子供である。

高齢者と子供の腸内状況は元々安定しておらず、抗生物質の使用でなかなか元の状態に戻らない。レジリエンスが弱いのである。

「腹という言葉について」

腸のすごい所は、脳の判断とは別に独自の判断力を持ち、独立して動いているのだ。人間の体で

思考能力を持つのは、脳以外では腸管だけである。そして既述のように、求心性迷走神経が多数

分布している。脳から来る遠心性迷走神経は僅かである。迷走神経の殆どは、腸から脳である。これは腸管主導で体をコントロ-ルしていることを表している。 

精神的に不安定になると、腹部に違和感を感じる。これは変化に対応するために、繊細な感覚が自律神経を通じて伝わっているのだ。

自律神経→意志とは無関係に体をコントロ-ルし、生体の植物的機能を自動的に調節する神経。

       交感神経と、副交感神経とがある。

バランスを崩す最大の原因は精神的なストレスである。ストレス社会は交感神経が優位となりがちで、訳もなくドキドキしたり、お腹が痛くなったりする。

「内臓感覚、第六感」

視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の五感に加えて最近は六感が注目されている。

洋品店で服を買おうとする。二着から選ぶことになる。→何となく直感で決めているのだ。

 →ソマチック・マ-カ-仮説。

これは論理的に回答を出しているのではなく、内臓感覚が脳に影響を与えて意思決定をさせているという仮説。

これは論理的回答を否定するものではなく、内臓器官の直観力と組み合わせて効率的で正しい意思決定となる。

直感を司る細胞は右脳に多くあり、それには腸管に多くある神経伝達物質セレトニンが働くとされる。

これらから、腸管神経が物事の判断に多く関わっていることが判る。

厳しい会議前に腹痛を起こすことも、内臓感覚が状況を捕らえているのである。

「呼吸」  腹式呼吸  丹田呼吸法→古くからの呼吸法、座禅等

 

心臓や腸などの臓器は人間が動かすことは出来ないが、無意識に行っている呼吸はその速さや深さをコントロ-ルすることが出来る。呼吸を、意識をもってコントロ-ルすることで、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスをとることが出来る。腹式呼吸を習慣づけることで不調を感じた時、全身を整えることが出来るようになる。緊張してスレスが掛かった時には、交感神経が働いて呼吸数が

増えて、呼吸は浅く早くなる。これは血行を悪くし、体調を落とし睡眠不足などを引き起こす。

腹式呼吸により多くの酸素を取り込み、緊張している筋肉をリラックスさせることが必要である。

日常生活でも会話中や、普通に息をしている時にも意識して腹をへこませながら、ゆっくり吐く呼吸が望まれる。これで自律神経を整え、心と体のバランスを整えるのである。

「生活のエネルギ-を得る方法」

・解糖系     糖分をエネルギ-原料として使う。炭水化物を糖に変え、瞬発力のある動きを作る。

 

・ミトコンドリア系  酸素を原料とする。得られるエネルギ-に瞬発力は無いが、持続力に優れ、

           心臓や脳神経などへのエネルギ-供給源となる。

人間の体は、ハイブリッド自動車みたいなもので、若い時は解糖系、中高齢になるとミトコンドリア系が中心となるべき。

ミトコンドリア系は、健康で長生きエンジンと言われる。

解糖系エネルギ-を摂りすぎると、ミトコンドリアエンジンが働かなくなるといわれる。そして、活性酸素を発生させるとされる。

「ミトコンドリア系を働かせる方法」

・腹式呼吸 酸素を沢山取り込む

・副交感神経を働かす

・腹を大切にする生活

 

「次回へ宿題」  甘いものが好きですか。

 

「コメント」

古来言われてきたことには、全て理由があるのだ。さあ、出来ることからやろう。まずは呼吸、炭水化物を控える。