カルチャーラジオ日曜版「植物ってすごい!  田中 修  甲南大学理工学部教授

 

  「植物たちの生き方に学ぶ」  13年6月16日() 20時00分~22:00 

植物の生き方の大きな特徴は、チャンスを捉えて逃がさないということ。そうでないと季節についていけないし、その場所で生きていけない。

 

「発芽」

・発芽の三条件(水・適切な温度・酸素) 発芽はどこでもいいということではない。発芽したら光合成をして生きていかねばならないので場所、時を選ばねばならない。

・発芽の三条件に光がないが要らないのか。多くの学者が調べたが、結論はやはり要る。赤い光が発芽、光合成にも力があることが分かった。

・光と発芽の関係に着目して次の質問。どれが雑草除去に悪い方法か。

 

    バ-ナ-で焼く  ②雑草だけを抜く ③耕して雑草を抜く  ③が最悪→眠っている雑草の種に光を当て発芽させる。

 

「つぼみの分化」 

発芽した時にはつぼみを持っていないので、チャンスを捉えてつぼみを作らねばならない。このつぼみがいつ花となり咲くかが問題。これには植物が咲く時期を知っていなければならない→葉が夜の長さを測って咲く時期を決めている。 

・春に花を咲かせる植物   カラスノエンドウ ホトケノザ ハコベ アブラナ

 暑さに弱い植物で、夏を種で越す。 

・秋に花を咲かせる植物   エノコログサ ギシギシ イノコヅチ ブタクサ 

 寒さに弱い植物で、種で冬を越す。

 

・暑さ・寒さを知る方法

 植物の葉は夜の長さを測る。夏至、冬至の2ヶ月後に暑さ、寒さのピ-クが来ることを計算している。

・植物のこの習性を利用してやっているのが電照菊。人工的に昼夜の時間を作ることで一年中花を咲かせている。

 

「開花」

開花の時期時刻は決まっている。なぜなら、つぼみの開花には何らかの刺激が要るから。

    温度が上がると開く  花の開閉は花びらの内側外側の伸び方の違いから。

チュ-リップ        開くとき→内側の花びらが伸びる   閉じるとき→外側の花びらが伸びる

 

    明るくなると開く                 タンポポ

 

    夕方から10時間で開くと決めている    アサガオ

 

    夕方から5時間で開くと決めている     月下美人    

       人間は賢いからこの習性を利用して花の咲く時期、時間を調整する。

 

「無駄な競争をしない」 

雑草のイヌビエは水田で稲と一緒に生育するが、稲より決して大きくならず、目立たず稲の邪魔にならないようにする。

 

「散り際が美しい」 

・葉は自分の意志で落ちる。まず自分で離層を作り栄養を本体に戻してから落ちる。 

・黄葉・紅葉となりカロテノイド、アントシアニンを分泌し、本体への紫外線の外を防ぐ。

・次の世代のために刺をなくし動物にまず食べてもらうようにする。 (ヒイラギ人生) 子の犠牲になる

・落葉  腐葉土となる。

 

植物は4億年も前から生きていて、人間の先輩。植物の生き方が我々の参考になる。