カルチャーラジオ日曜版「植物ってすごい!  田中 修  甲南大学理工学部教授

 

 「植物たちのふしぎなパワ-」      13年6月23日() 2000分~21:00

 

今日は最終回なので復習をしながら話しましょう。まず植物は動き回れないと言われているが実は「植物は動き回る必要がない」     動物が動き回る理由は二つ。

    食べ物を探す→光合成で酸素・澱粉を生産  ②繁殖相手を探す→虫、鳥、動物、風により受粉

「多くの植物は春と秋に花を咲かせる」

・春に花を咲かせる植物は夏の暑さに弱いので、種となって夏を凌ぐ。秋に花を咲かせる植物は冬の寒さに弱いので 

・どうして夏・冬の到来を知るのか→葉が夜の長さを測っている→一番短い、長い日の2ヶ月後に暑さ・寒さがやって来る

「夏を越す植物の不思議」 主として種になって夏を越す。しかし以下のやり方もある。 

・アサガオ(熱帯アジア)、オシロイバナ(熱帯アメリカ)、スイカ(アフリカ中部)、キィウイ(インド)、ゴ-ヤ(熱帯アジア)

 

 コスモス(メキシコ)は暑さに強いが、工夫をしている。→水分を蒸発させる気孔を持っている。100200/1mm

  葉で温度調整をしている。

 

「冬を越す植物の不思議」 主として種になって夏を越す。しかし以下のやり方もある。

 ・(越冬芽)を作って冬を越す。春に咲く花木の殆どがこれ。モクレン・サツキ・ツツジ・ウメ・リンゴ・モモ・ハナミズキ・・・・・

 

  夏までに寒暖の差に影響を受けない越冬芽を作る。春に咲く花は種を作るのに時間がかかるので。(秋の花は短い)

 

 ・越冬芽を作る仕組み

  葉が夜の長さを測っているが、夏至をすぎて夜が長くなると(アブシシニサン) を芽に送って越冬芽を作る。

 狂い咲きと言われるのは、虫・病気で葉がなくなり時を測れなくなっているから。→よく見ると葉がないはず。

 ・常緑樹は、工夫をして常緑を保っている。突然寒さに当たると糖分を出して凍結を防ぐ。寒さにあった野菜は甘くなるというのはこの理屈。EX 寒締めホウレンソウ、

 

「病気にならない植物の不思議」

植物は自分が病気にならないように、カビ/病原菌を殺す物質を出している。これをフィトンチッドという。これを日本では昔から生活に利用している。

 

柿の葉寿司・笹饅頭・ます寿司・粽・柏餅・刺身のつま(シソ)・竹の皮・蓬餅・山椒・クスノキ

 

特に桜餅  桜の葉は、死ぬとクマリンといういい香りのフィトンチッドをだして親木を守る。

 

「植物再生の仕組みの不思議」

植物には(頂芽優性)という特性がある。頂上にある芽がドンドン伸びる。これで頂芽が損なわれても次がある。長男が死ぬと次男、次男が死ぬと三男・・・・・。動物に食べ尽くされない工夫。この特性を利用してタラノメの人工栽培が行われている。

 

「食べられない工夫」

・シブミ、辛み、苦味、酸味、えぐみ・・・・

・ムチンというネバネバ成分  モロヘイヤ、山芋、オクラ、長芋  虫を近づけない為に。