科学と人間①植物の不思議なパワ-  甲南大学教授 田中修

150501健康を守る抗酸化物質

「フレンチパラドックス」

フレンチパラドックスと言う言葉がある。フランス料理は油、バタ-、チ-ズをふんだんに使って脂肪分が一杯。フランス人が毎日、そのような料理を食べているわけでもないが、フランス人の脂肪摂取量は多い。そうなるとコレストロ-ル値が上って、心臓病のリスクが

増えるのは常識。ところがフランス人が心臓病で亡くなるのは、英米に比較して少ない。これがフレンチパラドックス。しかしその謎はとかれた。それは葡萄からつくられるワインであった。

・1991年アメリカCBSTVで報道された「赤ワインを飲んでいれば心臓病は予防できる」というもの。フランス人は水代わりに赤ワインを飲んでいる国民。

・赤ワインにはポリフェノ-ルが豊富に入っている。アントテシアニン。そしてカテキン・タンニンも入っている。

・そして暫くして世界的科学誌「NATURE」にこの説を分子レベルで裏付ける発表がなされた。

・しかしその量はどれほどか→それには適量としか書いてない。→過ぎたるは及ばざるが如し。

・それでは白ワインは?→効果はない。赤ワインは皮・種も入っているが白ワインは実だけ。これらの抗酸化物質は少ない。

Japanese Paradox」     これは日本人男性の喫煙率が高いのに何故長寿なのか。更に日本人の野菜・果物の摂取量は少ない。

・世界一の平均寿命を更新してきた。(2011年は東北大震災でトップを下りたが) 長寿世界一 男 111才、女 116才。

この原因は色々と分析されている。

  1. 社会的形態からは

    ・安心・安全・清潔な生活環境と卓越した医療技術→これを享受できる保険制度

        ・国内農産物品質がきわめて高い。

  2. 精神的側面  ハ-バ-ド大学の研究からは、心の安心感・安定感

    ・日本人と言うのは他人を思いやる心が非常に強い。そして困っている人がいると助け合う。大切なことは他人の新設を信頼し、受け入れられる心を持っている。

  3. 食物からの分析 和食 

    「大豆」

    NO 1の素材 大豆   醤油・豆腐・油揚げ・煮豆・豆乳・湯葉・もやし・黄な粉・納豆  色々な形で食べている。

    ・大豆は畑の肉と言われてきたが、近年は含まれている「イソフラボン」という抗酸化物質が注目されている。

    ・今 大豆のキャッチフレ-ズは「イソフラボン たっぷり」

    ・食品安全協会は2006年にイソフラボンをサプリメントとして過剰に摂取するのは好ましくないと通達を出した。それはイソフラボンが、性ホルモン「エストロゲン」に似た作用があるからである。骨粗鬆症、更年期障害に効果がある事は知られている。

    ・最近心臓病予防にいいと、枝豆が注目されている。「EDAMAME」として、米国でも人気。これは米国食品医薬品局が認めた

        「お茶」  旅に出たとき「七里行っても戻ってきてこれを飲め」と言われる。朝茶の効用が今、評判。

        ・お茶には抗酸化物質「カテキン」が含まれ、高血圧予防・血糖値を下げるに効果的と言われる。又強い殺菌作用があるので うがい効果が顕著。

        ・ビタミンC・ビタミンE・カロテンを豊富に含んでいる。

        「ゴマ」  不老長寿の秘薬と言われる  インド原産

        ・和食ではたくさん使われる。ごま油・イリゴマ・胡麻和え・ゴマ豆腐・・・・

        ・ゴマの中にはセサミンという抗酸化物質が豊富に含まれている。ごま油が劣化しにくいのは、この成分による。

        ・セサミンは肝臓の活性酸素を取り除き、老化を抑制する。

        ・しかし残念なことにゴマの国産化率は0.1%、殆ど輸入

        「蕎麦」  ルチンという抗酸化物質を含む

        ・このルチンは水特に湯に溶けやすい。茹でた蕎麦は、殆ど溶けだしてしまっている。其れで、昔の人はそば粉として食べた。

        ・茹でた蕎麦は、ルチンのない状態で食べているのである。誠に勿体ない事である。栄養と言うより、嗜好食物。カロリ-制限食。

        「ごぼう」  リグニンたっぷりの食物繊維。生活習慣病予防。世界で食べるのは日本人だけと言われる。

        「こんにゃく」

        ・カロリ- 0として、外国ではスパゲッティの代用として使われる。そしてその花が異様で不気味なので「悪魔の舌」と言われる。

        ・おでん・すき焼き・刺身等で使われる。最近は、禁止されたレバ刺の代用品となってきた。

     

        和食を支える果物もある。

        「柿」  是が赤くなると医者が青くなると言われる。 外国ではトマト、日本では柿。

        ・ビタミンCは、ビタミンCの王様イチゴに匹敵する。

        ・タンニンは柿パワ-と言われ、糖尿病予防に効果。またタンニンとカリュウムで二日酔い対策。利尿作用が強い。

     

    今日は「健康を守る抗酸化物質」として、和食の食材について話した。

        

    「コメント」

    ・我々の子供の頃に食べたもの、そのもの。当時は洋食に憧れたものだったが、今は世界の人々が絶賛するようになった。

     日本のお母さんに感謝。

    ・連休に来た孫たちには、殆ど和食。畑の野菜、息子が釣ってきた鰆。それぞれの家に帰れば元の木阿弥だろうけど。

    ・学校では「和食」の料理を教えるべき。