科学と人間「私たちはどこから来たのか?~人類700万年史」            講師 馬場 悠男(国立科学博物館名誉研究員)

150821⑧ネアンデルタ-ルジ人は白人だった~旧人の進化

 

ネヤンデルタ-ル人は白人だったというのは、今のヨ-ロッパ人であったという事ではなくして、肌の色が白かったという事。そもそも旧人として最も有名なのはネヤンデルタ-ル人、それが余りにも定着しているので、旧人=ネヤンデルタ-ル人と思われているが、旧人の一種に過ぎない。ヨ-ロッパ中心に分布した後期の比較的新しい旧人である。

 

「ホモ・ハイデルベルゲンシス」  ホモ・エレクトス(原人)とネヤンデルタ-ル人やホモ・サピエンス(新人)との中間的存在

ヨーロッパの前期の古い旧人はホモ・ハイデルベルゲンシスである。その化石がドイツのハイデルベルグで1907年に発見された。

ホモ・ハイデルベルゲンシスはどこでどの人類種から発見されたのか。それは又してもアフリカであった。少し時代を遡って復習して

みよう。

およそ200万年前アフリカの原人 ホモ・エレクトスは草原の環境に適応して積極的に狩りを行うようになった。短距離を疾走することも、長距離を移動することも出来る体格をしていた。器用な手を使ってハンドワックスと呼ばれる左右対称な石器を作ったり、狩りの

獲物を捌いたりしていた。脳容積は現代人の2/3で、ある程度の理性的判断が出来た。その様なホモ・エレクトスが屈強な体力を維持しながら更に脳容積を発達させたのが、ホモ・ハイデルベルゲンシスである。具体的な例としてアフリカのザンビアで発見された

化石人骨がある。

ホモ・エレクトスと、ネアンデルタール人や現代人の中間を結ぶ存在であり、原人というより「原サピエンス人(現代人の原型)」とも

呼ぶべき種である。「ネアンデルタール人と現代人の最後の共通祖先」と言われる。

これが50万年前にユ-ラシア大陸に拡散していく。

東南アジアでは中国の北京原人を押しのけ、ヨ-ロッパではネヤンデルタ-ル人に進化した

・ヨ-ロッパに進出したホモ・ハイデルベルゲンシスの課題

●日射量の少ないヨ-ロッパでは、肌色が濃いホモ・ハイデルベルゲンシスはビタミンD不足に対応するために肌の色を白くした。

  そうすることで体内でのビタミンD合成を行った。同じように髪の毛や高裁も変化した。だからその子孫であるネヤンデルタ-ル人も

白人の特徴を有した。

●ヨーロッパの寒さ

 胴体を太くして背を低く、手足を短くして熱放散を防いだ。ネヤンデルタ-ル人は165cm、90kgとずんぐりむっくり。

これが、後のネヤンデルタ-ル人の特徴となっていく。

「ネヤンデルタ-ル人の能力と暮らし」

原人(ホモ・エレクトス)は石器を使っていたが、それは打ち欠いた剥片であった。しかしネヤンデルタ-ル人は木の葉型の先の尖った

両側に鋭い刃の付いた剥片石器を使った。これには高度な判断力と器用さが求められる。この為に脳容積が大きくなった。

・狩りにこの石器を槍として使った。

・亡くなった人の埋葬を行っていたと思われる。埋葬に花を供えていた形跡がある。埋葬地にたくさんの花粉が発見されている。

・頭の解剖学的研究から、言語をしゃべっていたと推測される。後にそうでないとする説もある。

「ネヤンデルタ-ル人の位置づけ」

ネヤンデルタ-ル人については現在でも、ホモ・サピエンスの祖先とする説、そうでないとする説があって決着していない。

「ネヤンデルタ-ル人の絶滅」

ネアンデルタール人が絶滅したのは2万数千年前だが、その原因はよくわかっていない。クロマニョン人との暴力的衝突により絶滅したとする説、獲物が競合したことにより段階的に絶滅へ追いやられたとする説、ホモ・サピエンスと混血し急速にホモ・サピエンスに吸収

されてしまったとする説など諸説ある

しかし最近のDNA分析でホモ・サピエンス(我々新人)にその遺伝子が含まれていることが確認されている。

「コメント」

・今回の講義くらい、難解でその論旨が理解できなかったものはない。よって記録は支離滅裂、途中省略も多い。

 途中で止めようと思った。しかし、「継続は力」 を信じて。

・まあ、それ位人類学と言うのは難しい学問という事として諦めよう。