210404①「座右の銘としての魅力」

講師は出版社で教科書や辞書の編集をやっていた。四字熟語の興味を持ったのは、その出版に携わってからである。

フリ-になっても四字熟語関係の本を書いたりした。
講座では四字熟語とは何なのか、四字熟語の魅力について話す。

「四字熟語とは何なのか」→定まった定義はない

漢字四文字で作られた熟語を指す。学術語ではない。広義には漢字四文字で構成される言葉の全てという解釈もあるが、より狭い範囲であることが一般的で、人によって一定ではない。

有名な笑い話がある。小学校の国語テストで次の問題があった。〇肉〇食の空欄をうめよ。

「焼肉定食」という答えがあったのである。勿論、不正解。

「弱肉強食」 9Cの中国 韓愈・・白居易と並んで「韓泊」と称せられる唐の詩人 仏教、道教を批判し、儒教中心を主張

・四字熟語の出所は、中国の古典である。誰しもそう思うし、確かに数は多い。

・しかし中国由来でないものも多い。   新進気鋭・大胆不敵・旧態依然

専門に研究している学者もいないし、辞典などは編集者が学者の意見を聞いて作っている状態

「座右の銘として使われることが多い」

例として、大相撲の横綱・大関昇進の時によく聞かれる。

大関正代  至誠一貫 孟子「至誠にして動かざる者はいまだこれあらざるなり」 吉田松陰の座右の銘

横綱貴乃花 不惜身命 不屈不当 一意専心  四字熟語大好き横綱

「出典として孔子の論語、老子」

漢文の世界では、処世訓とか座右の銘は人生を考えた孔子の「論語」からが多い。

温故知新   「温故而知新 可以為師矣」(故きを温ねて新しきを知らば以って師となるべし

切磋琢磨   詩歌集「詩経」 「切するが如く磋するが如く琢するが如く磨する如し」

        当初は、玉を作る方法を説いたが、転じて人物を作る努力を言うようになった。

巧言令色  巧言令色 鮮矣仁

「老子」

大器晩成  大きな器はいつまでたっても出来上がらない。時間がかかる。

和光同塵  その光を和らげ、その塵を同じくす       優れた才能を隠して、俗世間の人々の間で過ごすこと 

 

孔子は積極的、老子は消極的な、控え目な言葉が多い。

「出典として仏教が大きい」

自業自得  自分の行いの報いが、自分に返ってくること。通例、悪い行為について使う。

「往生要集」 源信が浄土教の立場から極楽往生に関する文章を集めた仏教書。浄土教の基礎の書。

地獄で罰せられる罪人に、自業自得という言葉が使われている。

不惜身命  身や命を捧げる事を惜しまない。 出典 法華経

「禅由来も多い」

竜頭蛇尾  はじめは勢いが良いが、終わりは振るわなくなること 出典 禅の書物 景徳伝録

        禅の修行者が、修行の態度が最初は立派であったが、後は駄目になった例を出している

「日本で作られたもの」
一期一会 茶会に臨む際には、その機会は二度とない、一生に一度ということを心得て、最善を尽くせと言う心構え

       千利休に考え方に到る 茶道を楽しんだ井伊直弼の本に出てくる 仏教用語ではない

質実剛健 日本のオリジナル 学習院校長であった乃木大将の訓示にある

 

平安貴族は日記をつけるときに、和風漢文で書いたので、漢字の使い方に馴染む。この伝統が四字熟語の定着になったのではないか。

 

「コメント」

中国古典に由来するとばかり思っていたが、そうでもないことを知った。実に便利であるが、今は理解できない人も多い。そうか、この分野は学問ではないのだ。雑学の世界だ。