歴史再発見 漢字と日本語の文化史      

                      早稲田大学社会科学総合学術院教授 笹原 宏之

 

    130910 名字の漢字ランキング (今日の漢字) 田・藤・崎

明治初期の太政官布告で、すべての日本国民は苗字を持つことが義務付けられた。江戸時代までは苗字帯刀は、限られた人であった。苗字の端緒は、藤原時代中臣鎌足が天智天皇から、その在所藤原を氏の姓とすることを許されたことによる。また姓(かばね)も同じにその家族集団を表すようになっていく。

 

 

姓→古代豪族が政治的社会的地位を示すために世襲した称号。臣(おみ)、連(むらじ)、造(みやっこ)、君(きみ)、直(あたい)、史(ふひと)、縣主(あがたぬし)、村主(すぐり)など。

 

・明治時代になると、戸籍制度を確立するために名字を義務付けた。

・日本の名字の特徴 

1、   同じ漢字圏の中で数が圧倒的に多い。20万とも30万とも。中國韓国はせいぜい数千数百位。

2、   2文字が多い。中國・韓国は1文字。 

3、   多く使われている字  多い順  田・藤・山・野・川・本  7人に一人が田を使っている。

4、   自然から発生している苗字が多い。

5、   日本に多い名字  多い順 佐藤・鈴木・高橋

 

・地域的特徴 

1、   東北を主に、東日本に佐藤が多い理由

藤原氏の領地が東北に多く、藤原氏が多く任地に赴いた。

佐藤(佐渡、佐野地方) 加藤(加賀)、伊藤(伊勢) 

2、   藤の読み方

東日本 トウ  佐藤・伊藤・加藤

西日本 フジ  藤井・藤田・藤川

 

「参考」

    鈴木 名字とする家の多くは穂積本姓としており、熊野三山信仰と関係が深い。穂積姓鈴木氏は熊野本宮の出身で、蟻熊野詣でで知られる熊野本宮大社に詣でる信者たちの世話や指導をする熊野御師を筆頭に、神官を受け継ぐ家系である。

    芥川  現大阪府北部と兵庫県の一部である摂津国島上郡芥川村が起源(ルーツ)である、桓武天皇の子孫で平の姓を賜った家系である平氏(桓武平氏)。ほか清和天皇の子孫で源姓を賜った氏(清和源氏)小笠原氏流、中臣鎌足が天智天皇より賜ったことに始まる氏(藤原氏)などにみられる。語源は、低湿地のどぶ川の意味からきているとされる

   
芥川城という城があった。城主は芥川氏。もとは武士ではなく、芥川宿の宿長のような存在で、徐々に勢力を拡大していったと言われる。
名前が地名になったのか、地名が名前になったのか、今となっては解らないが、でも、摂津国では、茨木、吹田、池田、伊丹などの国衆、つまり殿様の名前が地名になっているパターンって案外多い。
高槻市の芥川城のほとりにも「芥川」が流れている。