210306 京都冷泉家の八百年 和歌の心を伝える 冷泉為人 日本放送出版協会
●読了 21年2月3日
●読書のきっかけ
先輩の著書「王朝女流歌人」の出版を手伝う内に、平安時代以降の和歌の歴史を知りたくなった。
藤原俊成・定家に続く現在まで続く冷泉家の歴史である。
●著者
現在の冷泉家当主
●あらすじ
冷泉家は、定家の子供「為相」が冷泉家を名乗った時に始まり、今日まで25代、720年その前史と
して、御子左家の280年を加えるとほぼ千年の歴史である。御子左家の歴史から、俊成、定家の
和歌とその背景そして当時の和歌のあり様などを説明してくれる。そして様々な工夫して激動の
武士の時代を潜り抜けて、現在に至る。現代短歌と和歌の違いなど理解できるように工夫がある。
●感想
この系統のお陰で我々が現在目にしているいわゆる古典が残されていること。俊成自ら源氏物語の
写本をしているなんて感激である。源氏物語、更級日記・・・・。古典を残す使命感がこの血筋の
人々にあるのか。我々が時々やる題詠が本流でまた本歌取りが本来であることも初めて知る。
和歌はやるには万葉以来の古歌からの知識がないと叶わない世界であったのだ。又歌人はそれを
全部知って歌を評価していくのだ。なんと気骨の折れる事よ。
それにつけても今の短歌のお気楽であること。