今回のメインは小野市の浄土寺の阿弥陀三尊(快慶作)を、夕日の中で拝観すること。それと一日かけて、周辺の歴史散策。姫路駅をレンタカ-で出発し、天台宗の大刹「書写山円教寺」・聖徳太子所縁の「鶴林寺」・夕日の時刻に合わせて本命の浄土寺へ。蔀戸からさす、春の夕日に赤く輝く丈六の阿弥陀様を下から見上げて、思わず手を合わせる。朱塗りの天井と柱に映えて、素晴らしく閉館のぎりぎりまで座っていた。

(書写山円教寺)

駐車場に車を置いてまずロ-プウェイで。そこから山道を30分上ると山門。「西の比叡山」と言われるほど寺格は高く、中世には天皇・貴族の参詣も多かった。一条天皇の中宮

彰子と和泉式部も開基の性空上人を訪ねている。このため随所に和泉式部の歌碑。

本堂(如意輪堂、性空上人が彫った如意輪が本尊)、後後白河法皇が磨尼殿(マニ殿、梵語で如意の意)と名付ける。写真のように建物は豪壮で格式が感じられるが仏は秘仏で見られず、建物・広大な寺域だけの印象。

(鶴林寺) 加古川市

聖徳太子が、秦河勝に銘じて建立された。この地区は太子領であったとか。のち鳥羽天皇が勅額を下賜され鶴林寺となる。全盛期には寺坊30数か所と言われるが、戦国時代に戦乱で衰微。見学者は我々だけ、ボランティアが丁寧に説明してくれる。肝心の本尊の薬師三尊、釈迦三尊、白鳳の聖観音像・・・は、宝物殿にあって時間がなくゆっくり拝観できなかった。しかしよくも、ここまで保存できたもの。聖観音像は北魏様式?

浄土寺 小野市

田園の中に立つ本命の浄土寺、午後三時に到着し夕暮れを待つ。観光バスも帰り、数人。

東大寺再建の俊乗坊重源の創建。そしてお目当ての国宝阿弥陀三尊のある浄土堂は建立の時そのままに残っている。天竺様といい、全国に東大寺南大門とここだけ。

阿弥陀三尊は快慶作、朱色の天井・柱に夕日が跳ね返りまさに浄土への阿弥陀来迎を思わせる。直接光を隠し、反射光に赤く浮かび上がる来迎図は圧巻。堂内撮影禁止でパクリの写真しか載せられないが、これではその素晴らしさは不満足。下から見上げる感動は現場でしか

味わえない。