詩歌を楽しむ「あるがまま」の俳人  一茶   二松学舎大学教授 矢羽 勝幸

 

    130614  露の世は露の世ながら~ 「おらが春」() 

今日は主として、一茶の長女「さと」への愛情を記した日記風の解説なので詳細は割愛。ここで一茶が言いたのはやはり浄土真宗に根ざした仏性の事。

 

・「普通の人は仏性(仏になれる本性)に気づかないのは、自分の衣の裏に縫い込まれている宝石に気づかないのと同じ。」

 これは自分の子供が宝石であることに気づいていない人が多いと言っている。私は宝石を得たと。

・しかしこう思って愛した「さと」も1歳あまりではやり病で死亡。悲嘆に暮れる。 

・「おらが春」は娘(さと)への追悼の日記である。

  

(蚤のあと数へながらの添乳かな)

母の愛情を示している。蚤にくわれたあとをさすってやりながら、妻はさとに添乳をしているな。

  

(秋風やむしりたがりし赤い花)

あの赤い花はさとがむしりたがっていたな、生きている間にむしらせれば良かったな。さとの35日の墓参りの時の句。

 

(頬べたに 当などしたる まくわかな)

あのさとは、マクワウリをほっぺたに当ててよろこんでいたな  夢に出てきた様子を詠んでいる。

 

(母馬が番して呑ます清水かな)

母馬が見張り番して子供に水をのませているなあ。 

親子の情景を読むのは一茶のテ-マの一つ。