詩歌を楽しむ「サイモンとガ-ファンクルの歌を楽しむ」        

 上智大学教授 飯野 友幸

 

    131004 ポ-ル・サイモンという詩人 

「概要」 

・ポピュラ-音楽の世界で不世出のデュオと言われる。最初のアルバムWednesday Mornnng  3 pm「水曜の朝 午前3時」

 来年で50年となる。1970年にかけて5枚のオリジナル アルバムを出したが、その数は以外に少ない。

S & Gはとかく美しいメロディを美しいハ-モニ-で聴かせるという形でこれまで評価されているが、歌詞をじっくり読むと実に凝った素晴らしいものであることが分かる。詩は殆どSが書いている。

・講座では代表的13篇を選んで詩として鑑賞し分析し考察してみる。

・経歴 二人共ユダヤ系米国人 NY Queens 中上流家庭 小学校中学高校と同級生 Sは文学専攻 Gは数学・建築

S  母 小学校教師  父 大学教授 知的で音楽あふれる家庭  大学時代は詩を中心に勉強した、歌詞に文学的影響が出るのはこの為。

 

”Hey School Girl”

中学から一緒に歌い始めて、1957Tom & Jerryという名で”Hey School Girl”を出す。 全米でヒット。その後のイメ-ジとは違い、当時流行っていたRock’n’roolの影響を受けて当時の三種の神器(車・学校・恋愛)を散りばめている。

Wednesday Mornnng  3 pm」 1964年 S & Gと名乗り、初めてのアルバムとして出す。

 

I’m a rock

殆ど同時代にフォークブ-ム、中心にいたのは同じユダヤ系米人のボブ ディラン。彼は世界中のミュ-ジシャンに影響を与えた。フォ-クソングは本来、民衆の間に伝わる歌を歌うべきであったが、後変質して複雑で難解で時には政治的に使われた。

 

初期のヒット曲で、その歌詞がいかに文学的かを聞いてみよう。最初の頃は暗くて憂鬱にさせる歌ばかり。ただ耳に訴える表現、くっきりとしたイメ-ジなど視覚に訴えている。直喩を使わず隠喩(メタファ-)を使って強いメッセ-ジを送る。

 

悲しげなマイナー調ではなく、長調なので逆に強い孤独感を感じさせる。こんな所に工夫が感じられる。

 

(大意)

冬の日、私は部屋に閉じこもって暗い気持ち。かって友情で恋愛で傷ついたこともあるがそれは封印した。私は岩だ、島だ。

 

 「Sound of Silence 

この歌で一躍スター。最初のアルバムWednesday Mornnng  3 pmに入っていた。
 暗黒の夜よ お前に語りたい ぼくが寝ている間に なにかが忍び込んできて ぼくの頭にこびりついたまま、いまでも 住みついてるんだ
 夢の中のぼくは 狭い歩道を歩く 街路灯のあかりに まぶしく照らされて するとネオンの光が
 夜の闇を 突きさいたんだ その光の中には 大勢の人が見えた 誰も言葉なく 誰も聞こうとせず
 声にならない歌を書きながら 沈黙を かき乱していた
 沈黙というのは ガンのように広がっていく ぼくのいうことは本当だ だからぼくを受け入れて欲しい
  ぼくの言葉は雨のしずくのように しみわたるだろう
  ひとびとは頭をたれ ネオンの光に祈る ネオンは光り輝き 言葉を訴えかける それは予言の言葉
  地下鉄の壁やアパートの 広間で よくささやかれる言葉だ

 

Parsley,Sage,Rosemary and Thyme

1960年のアルバムで、この中にScarborough Fairが入っている。

 

Flowers Never Bend with the Rainfall

  そう、だから僕は振りをし続けよう 僕の人生は終わらない 花も、折れてしまうことはない 雨に打たれたって

 

Leaves That are Green」   Sound of Silenceの中にある。 

恋のはじめから終を歌っている。そして緑の葉は茶色に変わり日の中で枯れ、手の中で砕ける